Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate

Aozora Bunko

さぶは赤くなり、ふところからたたんだ手拭を出して、額を拭き、頸を拭いた。

「おら、汗びっしょりだ」

「きざなことを云って済まなかった」栄二は手紙を巻きながら云った、「――人間には誰にも、自分では気づかない能があるらしい、おらあここへ来てそこそこ一年になるが、そのあいだにいろいろな人間や出来事をみてきた、寄場はしゃばと違って、無宿人や牢から出て来た者ばかり、ひとくちに云えば世間からはみ出た人間だ、けれども、いっしょにくらしてよく見ていると、うすのろとかぐずとか、手に負えない乱暴者とか云われる人間が、それぞれみんないいところを持っている、誰にもまねのできねえような立派な仕事をする者も幾人かいるよ、生れつきの悪党か気違いでない限り、人間にはみんな備わった能があるんだ、棟梁だからえらくって叩き大工だから能なしだなんてこたあねえ、ぼてふりの魚屋にだって、八百松の板前より庖丁のうまい人間がいるかもしれない、おらあここで一年くらしてみてそう思ったんだ、さぶ――おめえいつまでも卑下ばかりしねえで、じっくりとよく自分をみてみるんだな」

さぶはのろくさした手つきで包みを解き、晒木綿を切った下帯の束をこっちへ置き、三つの折詰を持って部屋の中を見まわした。