Classici giapponesi con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate
――こんなことがいつまで続くんだろう、と栄二は筆を動かしながら思った。これじゃあまるで、本式の賭場と同じことじゃあないか、役所の人たちはどうしているんだ。
人間は欲には弱いものだ、と栄二はいつか万吉に云った。役人たちも人間だから、金を掴まされれば弱くなる。ことに僅かな扶持で寄場などに勤めている人たちには、その誘惑に勝つのはむずかしいかもしれない。しかし全部が全部ということはないだろう、火事が起こって煙が立っているのに、一人もそれを見ないなどということはない、岡安さんはなにをしているのだ。これはずっとまえから彼の頭にひっかかっていたことだ。たとえ寄場奉行が買収されたとしても、岡安喜兵衛の手を汚すことだけはできないだろう。あの人だけは信じてもいい、たぶんあの人はなにかのきっかけを待っているんだ、栄二はそう思った。
「あにき」と戸口でりゅうが云った、「――誰かやって来るぜ」
「誰かとはなんだ」
「この字でねえこたあ慥かだ」りゅうはちょっと待ってから云った、「わかったよ、いつものかぼちゃだ」
そしてくすっと笑った。栄二は口をあいてそっと息を吐いた。かぼちゃとはさぶのことである、かれらがここにいついてから二度、さぶがたずねて来たとき、義一とりゅうがそう呼んで笑うのを聞いた。