Classici giapponesi con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate
十二の六
「いつかおれたちもいったっけ」とさぶが眩しそうに眼をそばめて云った、「――三月の大汐のときだったな」
「川崎の大師からまわったんだ」と云って栄二はさぶに振り向いた、「――うちを持つのは勝手だが、おれを当てにしねえでくれよ」
十二の六
さぶは困惑したように、包みを抱え直しながら、自分の足もとを見た。
「このまえにも云った筈だ」と栄二はさらに続けた、「おれはこの寄場で、口では云えないほどの厄介をみんなにかけた、それを返すまではここから出るわけにはいかないんだ」
さぶはちょっとまをおいて云った、「おら、いままで岡安さんと話して来たんだが」
栄二はさぶの顔をみつめた。
「岡安さんは」とさぶはまだるっこい口ぶりで続けた、「栄ちゃんはここから出るほうがいいって云ってた、これまでは口止めをされてたんで云わなかったが、北町奉行の与力で青木さんていう人も、栄ちゃんのことを心配して、たびたびここへたずねて来るそうなんだ、ここでは岡安さんが毎月一度、栄ちゃんのようすを書いて青木さんに送っているんだが、青木さんはそれを自分で慥かめに来るらしい、そして青木さんも同じように、もう寄場から出してやるほうがいいって、云ってるそうなんだよ」