Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate

Aozora Bunko

僅かなもんで恥ずかしいが取っといてくれ、埋め合せはあとでするから」

「埋め合せだって」さぶは訝しげな眼つきをした、「なんのことだい」

「まあいい」と栄二は云った、「晩めしに二人で、なにかうまい物でも取るとしようか」

書付けをしらべるまでもなく、栄二の預けた金だけで、この家具什器が買えるわけはない、さぶの金が加わっていることは疑う余地がなかった。脚気を病んで帰郷しているあいだ、葛西の家でも相当な食い扶持を取られたであろう、そのうえこれだけの世帯道具を買い揃えたのだから、おそらくさぶは財布の底をはたいたに違いない。そう思ったけれども、これまた礼を云って済むことではないから、彼は話をそらしたのであった。

家主の源助と隣りの増六の家、そしてまた通りを隔てた、向う三軒へ挨拶にいってから、二人で晩めしを喰べた。めしだけはさぶが炊き、表通りの「魚喜久」という仕出し屋から、汁と焼物、刺身、酢の物などを取り、酒も二本つけた。これまでの習慣どおり、二人は徳利も盃もべつべつで、酌をしあったり盃のやりとりをするようなことはなかった。

「これはおれたちの店だ」栄二は初めの盃を啜ってから、ぐるっと家の中を見まわした、「――この店から、おれたちは始めるんだ、さぶ、しっかりやろうぜ」