Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate

Aozora Bunko

そして彼はそこへ横倒しになった。

ばかなまねをするなよ、穏やかにやるんだ。どなったり、相手をへこますような口をきいちゃあいけない。したでに出るんだ、金持は痛いはらをさぐられるのを嫌うからな、そらを使って相手にゆだんをさせるんだ。嘘とまことは眼にあらわれる、口はごまかせても眼はごまかせねえ、肝心なのは眼だ、と栄二は自分に云った。

あら、また来たのあんた、という女の声が聞えた。いやだわ、あんた陰気なんだもの、まるでいまにも首をくくる人みたい、ねえ、陽気にやろうよ、ぱあっとさ、いいでしょ。酔っぱらってるんだろう、酔って文句を云いに来るなんてだらしのないやつだ、どこかへ伴れていって酔いをさましてやれ。さあ、あんたどうするのさ、客はあんた一人じゃないんだよ、さっさとおしなね、いけ好かないよ、この人。ああ、と彼は呻いた。

「おっ母さん」と栄二は云った、「おらあ苦しくってたまらねえよ、おっ母さん」

彼はすすり泣いた。こんどもまた自分には、宿なし犬が腹をへらして鳴いているように聞えた。

「ほら、水溜りだよ」

「放してくれ」栄二は左の腕を自由にしようとした、「この手を放せよ」