Classici giapponesi con furigana
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
Leggi それでも私は行く (それでもわたしはいく) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.708 caratteri · 181 schermate
十
「――で、それから……?」
「小郷夫人、小野屋へやって来たわ」
「望月に会いに……?」
「そうよ」
「じゃ、小郷夫人は望月と……?」
「そうなの……」
「なるほど……。で、無論小郷はこのことを知らないだろうね」
「……と思うわ。だから、それを小郷にきかせてやりに来たのよ」
「それで判った。なるほど、小郷虎吉、真青になるだろうね」
鶴雄は弓子と顔を見合わせて愉快そうに笑った。
その時、いきなりドアがあいた。
十
鶴雄と弓子は、はっとしてドアの方を見た。しかし、ドアをひらいたのは、制服を着た中学生であった。
襟には4の襟章がついている。四年生だろう。
顔色が冴えず、何か思い悩んでいるらしく、眉間には深い縦皺が刻まれていた。
「おれが教える幹男という小郷の長男は、この中学生だな」
と、鶴雄は咄嗟に直感した。
幹男は、誰もいないと思って、その応接室のドアをひらいたらしく、二人の姿を見ると、
「あ……」
失礼しましたと、軽く頭を下げ、力なくドアを閉めて出て行った。
そして、廊下伝いにしょんぼり自分の部屋にはいると、ごろりと仰向けに寝転んで、そのままじっと天井を睨んでいたが、やがてポケットから煙草を取り出すと、火をつけた。