Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
光る刀を引っこぬいてどんどん駈けてきましたがね。いや、あぶねえ芸当さ、ははははは」
与吉は事もなげに笑っているが聞いているうちにお藤の目は疑わしそうにすわってきた。
もしそれがほんとなら、丹下左膳が自分で栄三郎を訪れて、さらりと和解を申しこみそうなもの。そのほうがまた、どんなにあの人らしいか知れやしない――。
第一、あの丹下様が、あんなに命をかけていた乾雲丸をそうやすやすととられるだろうか?
けれど、ものにはすべて機みということもある。
丹下左膳といえども魔神ではない……こう考えてくると、お藤は与吉がうそをついているとも、左膳に欺されているとも思えないのだった。要するに、何がなんだかわからないお藤。
「そうかい」
とおもしろくもなさそうにつぶやくと、頭痛でもするのか、しきりにこめかみをもみ出した。かと思うと今度は丹念に火鉢の灰をかきならしている。
あたまの中ではいろんな思いがさわがしく駈けめぐっているが、外見はいかにも閑々としてお妾のごとく退屈そうだ。
撫で肩に自棄に引っかけた丹前、ほのかに白粉の移っている黒襟……片膝立てた肉置もむつちりと去りかけた女盛りの余香をここにとどめている景色――むらさきいろの煙草の輪が、午さがりの陽光のなかをプカリプカリと棚の縁起物にからんで。