Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
はかせがないという一枚証文なら、べつに身体に瑕がつくわけでもなし、おもしろおかしい日がつづいたら本人もさぞ気がまぎれてよかろうではないか――こうお艶にすすめてみると、
気兼ねのないようにされればされるほど、さきが届けば届くにつけ、いづらいのが他人の家。
朝ゆう狭い肩身のお艶は、いっそここで思いきって芸者にでも出れば、第一、ひろく人に会い、したがって口も多いから、この日ごろ気になってならぬあの弥生さまの行方にもひょっとしたら手掛かりがあろうも知れぬし、自分をねらう本所の殿様へは何よりの防禦と面あて……が、ただ風の便りに栄三郎さまがお聞きなされたらどんなに悲しまれることか!
けれどそれも、愛想づかしの上ぬりとはこのうえもない渡りに舟!
こうした泣き笑いに似た気もちから、大工伊兵衛を親元として、みずから幾何の金でまつ川へ身を売ってきた夢八のお艶であった。
そうして今宵――。
そうして今宵……。
はじめて櫓下のまつ川から出た羽織芸者の夢八。
身売りの金は、いずれ足を洗う時の用意にもと固い伊兵衛がそのまま預かって、まつ川と字の入った提灯を借り、弱子の新助を連れて河むこうの銀町へ帰って行ったのは、月のない夜の丑満すぎてからだった。