Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
「ああ――」
思わず洩れる吐息が、すぐと力ない咳に変わって、弥生は袂に顔を押し包んで、こほん! こほん! とつづけざまに身をふるわせた。
このごろ胸郭が急にうつろになって、そこを秋風が吹くような気がする。ことに夕方は身もこころも遣瀬なく重い。弥生はいつしか肺の臓をむしばまれて、若木の芽に不治の病をはびこらせつつあったのだ。
心の荷を棄てねば快くならぬ。
とそれを知らぬ弥生ではなかったが、思っても、思っても、思ってもなお思いたりない栄三郎様をどうしよう!
こうして叔父多門方に娘分として引き取られているいま、寸刻も弥生のこころを離れないのは、父鉄斎の横死でもなく、乾坤二刀の争奪でもなく、死んでも! と自分に誓った諏訪栄三郎のおもざしだけだった。
もとより、父の死は悲しともかなしい。そしてその仇敵は草を分けても討たねばならぬ。
夜泣きの刀も、言うまでもなく、万難を排してわが手へとりもどすべきであるが……。
その仇を報じ、その宝刀をうばい返してくださるのが、やっぱりあの栄三郎さまではないか。
強い、やさしい栄三郎さま!
こう思うと、今この身の上も、もとはと言えば、すべてあの人が自敗を選んだことから――とひややかに理を追ってみても、弥生はすこしも栄三郎を恨む気になれないどころか、ますますかれを自分以外のものとして