Classici giapponesi con furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate
「おときです、どうぞごひいきに」
女中は盃に一つ飲むと、すぐ来るからと云って、用ありげに立っていった。
おかねのやつ、ことによると藤井に唆されたな、と彼は手酌で飲みながら思った。酒屋の話も腑におちない、十二両などという大枚な金を、番頭が横領したのにこっちへ押しつける。受取が偽造だといったところで、こっちの責任だなんていう理屈がどこにあるか。狎れあいだ、酒屋のほうとも狎れあいかもしれない、と彼は思った。
「そんなあまい手に乗るおれだと思うのか」彼は鼻で笑った、「見ていろ、すぐに化けの皮きれいに剥いでやるから、そのとき音をあげるなよ」
ええよせ、と彼は首を振った。こんなばかなことを考えるな、今日こそおみのをものにする筈じゃないか、つまらないことは頭から吹きとばしてしまえ、と彼は心の中で自分に云った。――だがすぐにまた、おくにとおかねと二人、同時に噛みついて来たのはどういうことだ、と思った。これまでどっちも温和しくしていた。むろん不満はあったろうが、あんなふうに真向から盾を突いたことはない。しかも、まるで相談でもしたように、二人の態度が同じ日に変った、というのはふしぎではないか、彼はそう思い、それから片手で額をとんとんと叩いた。