Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
一尺余りの古代雛は、澄んだ眼を、うるましているようであった。深雪は、雛の頭を撫でながら、もう一度自分の頬を頬へくっつけていたが、
「手柄を立てて、元の身分になるまで、辛抱して下されや」
と、雛の耳に囁いた。そして、撫でて乱れた髪を、自分の櫛で解いて、そっと、箱へ納めた。
「もう、売らねえ」
「そういわずに、三十両で」
「手前、根性が、腐ってるから厭だ。おれが、一分や二分もらって、主家の品を安く売る男と思ってるのか」
又蔵が、古着屋に怒っていた。深雪は、傘をさして、門口を出た。表門から、往来へ出ると、雨合羽、饅頭笠の人々が、急ぎ足に行き通っていた。
四国町の自身番の、粗末な、黒い小屋の前に、人が集まって、何か覗き込んでいたが、深雪は、人から、顔を見られるのが厭なので、傘を傾けて通った。
大きい達磨を書いた油障子の立ててある髪結床の前に、薬湯と、横板の看板のかかった湯屋があった。その横町の泥溝沿いに入って行くと、軒下に、小さい紅提灯がつるしてあって、中を覗くと、一坪程の土間に、大提灯が、幅をしめていた。
「あの――」
男が、大勢坐っていたので、どきっとしながら