Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Leggi 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 38.941 caratteri · 79 schermate

Aozora Bunko

一二

黒色の花を指差した。

香具師は返辞をしなかった。

「知る筈が無いさ、知る筈が無いさ、本草学にだって無いんだからな。これは西班牙の連銭花だ。何んと美しい黒色では無いか。花弁に繊毛が生えている。が、決して障っては不可ない。障ったが最後肉が腐る。それはそれは恐ろしい花だ。……ところであの花を何んだと思う?」

金黄色の花を指差した。

香具師は返辞をしなかった。気味悪そうに見ただけであった。

「俗名惚草という奴だ。採った薬が惚れ薬だ。アッハッハッハッ洒落た花だろう。茶の中へ垂らして飲ませるのさ。間違い無く女が惚れる。お望みなら分けてやろう。……さて最後に此花だ。若いの、見覚えがあるだろうな?」

深紅の花を指差した。

焔が燃え乍ら凍ったような、凄い程紅い花であった。

正しく香具師には見覚えがあった。

「唐土渡来の眠花!」

「然うだ」老人は気味悪く笑った。

一二

「然うだ」と老人は最う一度云った。「唐土渡来の眠花だ。二年生草本だ。茎の高さ四五尺に達し、その葉には柄が無い。葉序は互生、基部狭隘、辺縁に鋸歯状の刻裂がある。四枚の花弁と四個の萼、花冠は大きく花梗は長い。雄蕊は無数で雌蕊は一本、花弁散って殼果を残し、果は数室に分かれている室には無数の微細の種子が、白胡麻のように充ちている。