Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
「今更そんなことを言っても仕方が無いぞ」
「いえ、私はそうじゃ無いと思います。稀にはこういうことも思って、心の持ち方を変えるが好いと思います」
「でも俺は差当り困る」
「いえ、差当ってのことで無く、根本的に――」
森彦は弟の言うことを汲取かねるという風で、自分の部屋の内を見廻して、
「お前はそう言うが……俺は身内を助けるから、こうして他人から助けられている。碁で言えば、まあ捨石だ。俺が身内を助けるのは、捨石を打ってるんだ」
「どうでしょう、その碁の局面を全然変えて了ったら――」
「どうすれば可いと言うんだ、一体……」
「ですから、こう新生活を始めてみたらと思うんです――田舎へでも御帰りに成ったらどうでしょう――私はその方が好さそうに思います。どこまでも貴方は、地方の人で可いじゃ有りませんか、小泉森彦で……それには、田舎へでも退いて、身の閑な時には耕す、果樹でも何でも植える、用のある時だけ東京へ出て来る、それだけでも貴方には好かろうと思うんです」
「何かい、お前は俺にこの旅舎を引揚げろと言うのかい」と言って、森彦は穴の開くほど弟の顔を眺めて、「そんなことが出来るものかよ。