Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate

Aozora Bunko

「さ、夜食にしようぞ。日吉もおつみも、寄ったがよい」

彼女は、子たちの父を中心に、炉のまわりへ、箸や椀をくばった。

「飯か」

いつものことながら、弥右衛門は貧しい稗粥の鍋を見るたびに、さびしい顔になった。妻にも子にも、満たしてやり得ない自責を――男親として、人知れず苦しむらしかった。

だが、日吉もおつみも、一椀の稗粥に会うと、頬も鼻も赤くして、美味そうに啜り合い、貧しさなどは思わなかった。これ以上の富貴は知らないからである。

「新川の茶わん屋様から味噌もいただいてあるし、乾菜も乾栗も、納屋に蓄えてあるほどに、おつみも日吉も、たんと喰べたがよいぞや」

子達の母は、そう云いながら、不具の良人が、家計を心配しないように、気を遣っていた。

そして彼女自身は、二人の子が腹いっぱい喰べ、良人も十分に済ました後でなければ箸を取らなかった。

夜食がすむと、間もなく寝てしまう。何処の家でもそうなのだろう。夜の中村は真の闇だった。

――ところが、闇夜になってから、野や道を、人の跫音がしきりとする。近国で戦がある時ほど、そうだった。

野武士の群れだの、軍馬だの、落人だの、密使の往来などが、夜を好んで動くのである――