Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate

Aozora Bunko

矢矧川

水のそばのせいか、凄まじい音がした。国吉の姿は土塀から転げ落ちた。すぐわらわらと駈けつけて来る跫音が彼へ迫った。だが、天蔵の影は、まるで豹が跳ぶように、畑や野の土を蹴って、やがて消えてしまった。

矢矧川

布令がまわった。

家長の蜂須賀小六の名をもってである。

――集まれ!

というのだ。

晩方までに、土豪蜂須賀の丘の住居は、門の内外、野武士で埋まった。

「合戦か」

「何事だろ」

「何が起ったのか」

集まって来た者はみなこれ、物の具を取れば、一くせある面だましいの者ばかりだったが、平常は、野に住んだり、畑を打ったり、繭買いをしたり、馬を飼って市へ出したりなどしている、ただの農民や商人と変りがない。

ただ彼らは、根からの農民や商人ではなかった。血のなかに、多分にまだ、祖先の勇武と、現代への不満を抱いて、時しあらばふたたび、弓箭のなかに運命の風雲を捲き起そうと――かねてから結びあっている家党の輩なのである。

そのうちに、

「お庭へまわれ!」

「静粛に――」

「中門をくぐって」

と、小六の腹心、稲田大炊助、青山新七たちが出て来て、指図した。

その腹心たちは、すでに武装していた。