Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
生粋の直参旗本にとっては、この世が退屈に思われるのが当然中の当然なことでした。
しかし、主水之介は退屈しているにしても、世上には一向に退屈しないのがいるから、皮肉と言えば皮肉です。
※(歌記号、1-3-28)――高い山から谷底見れば
瓜や茄子の花ざかり
アリャ、メデタイナ、メデタイナ
そんな変哲もない事がなぜにまためでたいと言うのか、突如向うの二階から、ドンチャカ、ジャカジャカという鳴り物に合わして、奇声をあげながら唄い出した遊客の声がありました。
「ウフフ……。他愛のない事を申しおるな。いっそわしもあの者共位、馬鹿に生みつけて貰うと仕合せじゃったな――」
ききつけて主水之介は悲しげに微笑をもらすと、やがてのっそりと道をかえながら、角町の方に曲って行きました。
と――、その出合がしら、待ち伏せてでもいたかのごとくにばたばたと走り出ながら、はしたなく言った女の声がありました。
「ま! さき程からもうお越しかもうお越しかとお待ちしておりいした。今日はもう、どのように言いなんしても、かえしはしませぬぞ」
――声の主は笑止なことに身分柄もわきまえず、大身旗本のこの名物男早乙女主水之介に、もう久しい前から及ばぬ恋慕をよせている、そこの淡路楼と言う家の散茶女郎水浪でした。