Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
一三
まことや金城鉄壁、天下も慴伏す葵の御定紋が、その切れ端たりとも駕籠の先にかかったならば、もう只の駕籠ではないのです。上将軍家のお召し駕籠も同然なのです。
これを狙って、プスリと一発見舞ったとしたら、溝口豊後、切腹どころの騒ぎではない。一門震撼、九族は根絶やし。――果然、道中何かの計画があったとみえて、見る見るうちに豊後守の顔が青ざめました。
「アハハハ……。御定紋なるかな。御紋なるかなじゃ。馬鹿の顔が見たいのう。豊後どの、御供御苦労に存ずる。では、参ろうぞ。駕籠行けい」
いいこころもちでした。
無言の御威光古今に聞える紫房の御定紋が、供先お陸尺の手にせる灯りの流れの中をふさふさとゆれて、駕籠は静かに歩み初めました。
一三
割下水からお城への道は、両国橋を渡って大伝馬町をのぼり、四丁め、三丁め、二丁めと本町をいって、常盤橋御門から下馬止めへかかるのが順序でした。
道は暗い。
狙うなら恰度頃合い……。
その両国橋へさしかかったとき、察しの通り、やはり刺客が伏せてあったのです。橋袂のお制札場の横から、ちらりと黒い影が動いたかとみるまに、銃さきらしい短い棒がじりッとのぞきました。