Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
八
いつでも退屈払いに参ってつかわす。汝、お手かけ馬の権を藉りて挑み参らば、主水之介、眉間傷の威を以って応対いたそう。参れ」
くるくると巻いてその果し状を小柄へ結いつけると、
「少し痛いぞ。天罰じゃ。我慢せい」
プツリと背中の肉を抉って小柄を縫いとおしました。
ひいひいと身をよじって悲鳴をあげた小侍を、どんと蹴起しながら小気味よげに言い放ちました。
「十五郎はもっと痛い目に会うているわッ、たわけものめがッ。いのちがあるだけ倖せじゃ。早う飛んで帰って腰本治右にしかじかかくかくとあることないこと搗きまぜて申し伝えい。アッハハ。……ずんと涼しゅうなった。梅甫夫婦また来てやるぞ。売られた喧嘩でも喧嘩のあとはまた、しっぽりとしていいもんじゃ。たんと楽しめ」
ぽたぽたと血を撒きながら、飛んでいった小侍のあとから、退屈男の颯爽とした姿がゆらりゆらりと涼しげに街の灯の中へ遠のきました。
八
「アッハハ……。罷り帰ったぞ。兄は機嫌がよいぞ」
いとも機嫌よく帰っていったところは、妹菊路と小姓京弥と、あでやかなお人形たちが待っていたおのが屋敷です。
待っていたというものの、この美しく憎らしやかな人形たちは、兄主水之介のいない方がいいとみえて、なんということもなく戯むれに戯むれていた手をパッと放すと、ふたりとも真赤になって迎えました。