Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
しかし、その夜ばかりではなく翌朝になっても、やがてかれこれもうお午近くになっても、不思議なことに退屈男の、手ぐすね引いているその上段の間を訪れた者は皆無でした。
「ほほう、ちと奇態じゃな。亭主! 亭主! いや番頭! 番頭!」
「………」
「番頭と申すにきこえぬか」
「………」
「あい……」
やさしく消え入るように答えてそこに三ツ指ついたのは、前夜のあのいぶかしい若者ならで、ちまちまッとした小女でした。
「そちではない。ゆうべの番頭はどこへいった」
「あの……」
「怕がらいでもよい。番頭に用があるのじゃ! どこへ参った」
「ゆうべからずッとどこぞへ出かけまして、まだ帰りませぬ」
「なにッ、……異なことを申すな。あの男、時折夜遊びでも致すのか」
「いえあの、この頃になりまして、どこへ参りますやら、ちょくちょく家をあけまするようでござります」
「ほほう喃。だんだんと不思議なことが重なって参ったようじゃな。いや、よいわよいわ。掛り役人共とやらも番頭も何を致しおるか存ぜぬが、長引くだけにいっそ楽しみじゃ。ならば一つ身共も悪戯してつかわそうぞ。ゆうべのあの看板を今一度ここへはずして参れ」