Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate

Aozora Bunko

「なにッ」

「いえ、さ、早く御前様、お引き遊ばせと申しただけでござります。――いえ、ちょッとお待ちなされませ。陽が落ち切りましたか、急に暗うなりましたゆえ、灯の用意を致しまするでござります」

巧みに言葉を濁すと、あるじ英膳はついと身をそらしながら、灯の支度を始めました。まことに不審です。宿の表に麗々と触れ看板を掲げたからには、早乙女主水之介と知っているに不審は起らないが、昔ながらのお手並久方ぶりに拝見とは、いかにも不審でした。

しかし、そのまに土壇のまわりは、数本の百目ろうそくが立て廻されて、赤々と輝くばかり――。

いぶかりつつも主水之介は、さッと片肌はねてのけると、おもむろに手にしたは飾り重籐、颯爽としたその英姿! 凛然としたその弓姿! 土壇のあたり、皎々としてまばゆく照り栄え、矢場のここかしこ仙台藩士の色めき立って、打ち睨むその目、にぎりしめる柄頭、一抹の殺気妖々としてたなびきながら、主水之介が手にせる重籐、キリキリとまた音もなく引き絞られたかと思われるや、ヒュウと弦音高く切って放たれたかと見るまに的は五寸、当りは黒星――。

「お見事!」

冴え冴えとした声は英膳でした。