Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
「ゴモンバン――こりゃ、ゴモンバン――」
「畜生ッ、いやな声でまた呼びやがったな。どこのやつだッ」
恐々さしのぞいて、恐々探しましたが、丁度格子窓の出ッ張りの下に平みついているのですから、分る筈はないのです。不気味そうに帰っていったのを見すますと、追いかけながらまた退屈男の言う声が聞えました。
「――ゴモンバン、こりゃ、ゴモンバン」
とうとう癇にさわったに違いない。
「ふざけた真似をしやがって、どこの河童だ。化かそうと思ったって化かされないぞ!」
白は勇ましいが慄え声で、恐々くぐりをあけながら、恐る恐る顔をのぞかしたところを、武道鍛錬の冴えをもってぎゅっとつかみ押えたのは言う迄もなく退屈男です。
「痛え! うぬか! 河童の真似をしやがったのはうぬかッ」
叫ぼうとしてもがいた口へ、手もなく平手の蓋を当てがっておきながら、軽々と小脇へ抱え込んで、悠々と門番詰所へ上がってゆくと、ぱらりと覆面をはねのけて、これを見よと言わぬばかりに番士の目の前へさしつけたものは、吉原仲之町で道場荒しの赤谷伝九郎とその一党をひと睨みに疾走させた、あの、三日月の傷痕鮮やかな、蒼白秀爽の顔ばせでした。