Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
主計頭どの居室に案内せい」
注進するひまも止めるひまもない。打ちうろたえて、まごまごしている近侍の者達に、ピカリピカリと傷の威嚇を送りつつ、悠揚として案内させていったところは、奥書院の主計頭が居室でした。
「誰じゃ。何者じゃ。どたどたと騒がしゅう振舞って何者じゃ」
四十がらみの、ずんぐりとした好き者らしい脂肉を褥の上からねじ向けて、その主計頭がいとも横柄に構えながら、二万四千石ここにありと言いたげに脇息もろ共ふり返ったのを、ずいとさしつけたのはあの三日月形です。
「この傷が見参じゃ。とく御覧召されい」
「よッ。さては――いや、まさしく貴殿は!」
「誰でもござらぬ。早乙女の主水之介よ。うい傷じゃ、その傷もって天上御政道を紊す輩あらば心行くまで打ち懲らせ、とまでは仰せないが、上将軍家御声がかりの直参傷じゃ。当屋敷うちに、誰袖源七の幽霊がおる筈、のちのちまでの語り草にと、これなる傷にて買いに参った。早々にこれへ出さッしゃい」
「なにッ。――知らぬ! 知らぬ! いや、左様なもの存ぜぬわッ。幽霊が徘徊致すなぞと、うつけ申して狂気と見ゆる! みなの者! みなの者! 何を致しおるかッ。