Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
七
「十五郎、うれしくて声も出ませぬ。神田の明神裏の篠原梅甫というのが配れ合いでござんす。手前、ご案内いたします……」
「無用じゃ。その怪我ほってもおかれまい。そちはどこぞへ隠れて傷養生せい。成田屋、その方も江戸ッ児じゃ。下総男にひと肌ぬがぬか」
「よろしゅうござります。医者のこと、隠れ家のこと、一切お引きうけいたしましょう。たんと眉間傷を啼かしておいでなさいまし」
「味を言うのう。吉三郎のおいらん、浮気するでないぞ」
「あんなことを……。ぬしさんこそ、小芳さんとやらに岡惚れしんすなえ」
「腰本黒鍬左衛門とはちと手筋が違うわい。アハハ……。世の中にはまだ退屈払いがたんとあるのう。女共、気まぐれ主水之介、罷り帰るぞ。乗物仕立てい」
眉間傷の出馬となると、主水之介の声までが冴えるのです。――ゆらゆらゆれて行く駕籠の右と左りに、江戸の夏の灯の海が涯なくつづきました。
七
鐘が鳴る……。
そんなにふけたわけではないが、明神裏というと元々宵の口から、街の底のようなさみしい街なのです。
「これか。惚れた同士の恋の巣は、どこかやっぱり洒落ておるのう。駕籠屋ども、すき見するでない。