Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate

Aozora Bunko

「い、妹の器量ならうぬもうつつぬかそうと考えたのがこっちの手違い、いやさ、うぬさえこの世におらずば、おれと妹の天下じゃわい。やるッ。やるッ。――か、方々ッ。そっちの方々ッ」

「………」

「おかかりなされッ。この邪魔者消すは今宵じゃ、明日にならば、――いや、善は急げじゃッ、そっちも多勢、こっちも多勢、力を合せたらこやつ一匹ぐらいわけはないのじゃッ。早うとびこみめされいッ。早うお突き立てめされいッ」

黒鍬上がりのいやしさをまる出しに、お濠端の方へ懸命にわめきかけましたが、――不思議でした。動かないのです。濠端の一団は、どうしたというのか、いつのまにか槍の構えもすてて、もくもくとこちらを見守ったままなのです。腰本治右衛門のいら立ちも今は必死――。

「お、臆されたかッ。で、ではわれ等の新手がかかるゆえ、後につづかれいッ。――さ、かかれッ。かかれッ。ほうびじゃ! ほうびじゃッ! こいつさえたたんだら、あとはおれと妹の天下じゃ! ほうびは望み次第、つかみ次第! 千両でもやるぞッ。かかれッ。かかれッ」

ほうびが千両! 望み次第というのにけしかけられたのです。人体よろしくない人山が、一せいに獰猛な歯をむき、サッと白刄をきらめかすと、わあッと異様な叫びをあげて、主水之介、菊路、京弥の三人めがけて襲いかかりました。