Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はるいくたび

春いくたび

山本 周五郎

Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate

Aozora Bunko

「隊長、やっぱりこいつ密偵です」

「どうしたんだ」

「私ははじめからあやしいやつとにらんだので、たえず様子を見はっていたのです。するとさっき裏の防壁をのりこえて行くのを見ました。梟の鳴声をあいずにして、仲間となにか連絡をとって来たのです」

「梟の鳴声だと?」

半九郎はさすがに色をかえた。

「おまえ、それはほんとうか?」

「ほんとうです」

思いがけなくお糸はきっぱりと答えた。

「わたくしは土生一族の娘です、そしてこの梟谷はわたくしたちのものです、酒井の殿様を守るために、土生一族の土地を守るために、わたくしは自分のつとめをはたしたのです」

「こいつ!」

石岡はお糸の肩をつかんで、

「小娘のくせにふといことをぬかす。隊長! 斬ってしまいましょう」

「お斬り下さいまし」

お糸は静かにいった。

「わたくしは自分の役目をはたしました。斬られても少しも心残りはございません、お糸は御先祖の土地を守ったのです、お斬り下さい」

「よし、血祭だ!」

石岡は大剣をぎらりとぬいた、しかしそれより早く半九郎が、

「待て、石岡!」

と叫んでおしとめた。

「なぜ止めます、こいつは我々を」

「待て、待てというのだ」