Classici giapponesi con furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate
二
――は組の火消し頭佐兵衛は、かねてから図書のもとへ親しく出入りしていたし、仁木兵馬とも懇意だったので、それとなく行衛を捜していたがついにわからず、空しく三年の月日がたってしまったのである。
二
「仁木先生、あなたはまだ御存じあるめえが、道場は大変なことになりましたぜ」
「そんなことはどちらでもいい、酒をつげ」
「お酒はいくらでもあげますが、まああっしのいうことも聞いておくんねえ」
自家へつれ帰ると、もうすぐ酒を求める兵馬に佐兵衛は骨を叩かんばかりにしていった。
「先月の、そうだちょうどいまごろのことだっけ、風の強い夜更の二時すぎ、道場から急に火が出て、どうする暇もなくお屋敷から道場、すっかり丸焼けになってしまいました」
「そりゃあおおかた清姫の祟りであろう」
「なんです」
「道成寺の火事だというから」
「冗談どころじゃありません、駆けつけたあっしたちで、やっとお嬢さまだけゃあお助け申しましたが、旦那あとうとう御焼死なすった……」
兵馬は急に酔で蒼白めた顔を伏せたが、――そうかといってべつに驚いたようすもないので、佐兵衛は訝しそうに、
「仁木先生、――おまえさん、知っておいでなさるのか」