Classici giapponesi con furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate
半九郎はしかりつけるようにいった。
「後援隊はもうすぐ到着する、いいか、それまではこの娘が人質の役にたつんだ。……なにをしめし合わせたか知れぬが、後援隊が到着してここを一緒に出発するまで、もし土生一族が攻めて来るようだったらこの娘を人質にして彼らの攻撃を中止させることができる」
「おう、そうでした」
「しばれ! 手も足も、そして猿轡をはめるんだ、はじめてみつけた通りにしろ」
半九郎はそうきびしく命じた。
石岡は部下を呼んで、手早くお糸をしばりあげたうえ、かたく猿轡をかませた。お糸はだまって、されるままになっていた、――半九郎はそれがおわると、石岡に命じた。
「もういいから篝火を焚かせろ。それから後援隊のために握飯をつくらせて置け」
「――はっ」
「出発の準備はいいな?」
「荷造はすみました、弾薬も食糧も馬へつむばかりです」
「夜襲に注意しろ」
石岡は部下をつれて出て行った。
半九郎は黙って立っていた、ながいこと夜空を見上げながらだまって立っていたが、やがて静かにお糸のまえに近寄った。
「――お糸さん」
半九郎の声は悲しそうだった。
「私はいまでもおまえをにくんではいない、おまえは自分の役目をはたした、土生一族にとってはりっぱな手柄をたてたのだ。