Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はるいくたび

春いくたび

山本 周五郎

Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate

Aozora Bunko

二の二

「ないとはいわさぬぞ」

馬上の一人がひらりと馬を下り、鞭を片手にづかづかとおゆきの前へ立塞がった。

「――でもわたくし何も」

「黙れ、今おまえは湯沢へ行く道をきかれたといったな」

「はい」

「たしかに湯沢への道をきいたか」

「……はい、たしかに」

「嘘だッ」相手はぴしッと鞭で地面をうちながら叫んだ。

二の二

「嘘だ、嘘の証拠を聞かせてやろうか、いまの男は新庄藩の家中でこの付近の地理はよく知っているのだ、なにを戸惑って湯沢へ行く道などをきくわけがある!」

「――――」

「何か預かったのであろう、おとなしく出せばよし、かくしだてをすると」

いいながらぐいとおゆきの腕を掴もうとする、その手をぱっと払いながら、

「待たれい」

と久右衛門が割って出た。

「貴公らは新庄の御藩士と見受けるが、年少の娘をとらえて乱暴をなさるのはもっての外であろう、今こそ茶店をいたしておるが、わしもかつてはお目見以上のお扱いを受けていた、伝堂久右衛門という名ぐらいはお聞きおよびであろう」

「伝堂……あ! 待て鹿島」

その時まで馬上にいた一人が、あわてて飛下りざま近よって来た。

「お許しください、失礼仕った」