Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はるいくたび

春いくたび

山本 周五郎

Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate

Aozora Bunko

三

案内を乞うと、顔見知りの内門弟があらわれて、仰天しながら奥へ知らせる、すぐに稽古着のままで甲子雄が出てきた。

「おお仁木、仁木か」悦びに眼を耀かせながら、

「よく無事で帰ってきた、待兼ねていたぞ、さあ、とにかく奥へあがって」

「まあいい、それより先に十両ばかり金を貸してくれ」

「金を、――?」

「ふふふふ御覧のとおりの恰好で、今夜の宿銭にも困っているんだ、それともこの道場へおいてくれるか」

「いや、入用なら十両くらい用立てるが」

といっているところへさっきの門弟から聞いたのであろう、小浪が気もそぞろのありさまで走ってきた。

「まあ、兵馬さま、よう御無事で」

「これはお嬢さま」兵馬もさすがに手をおろした。

「ただ今江戸へ着きましたが、先生には意外の御最期……などと云ってみたところで、この姿では御挨拶にもなりません。兵馬もすっかり落魄れましてな、はははは」

「とにかくあがったらどうだ」

甲子雄が側から口を添えた。

三

朝からの酒びたり、酔うとごろ寝、日が暮れるとお天気安をつれて、外へ出てまた呑みまわる――まるでなっていない仁木兵馬だった。

「あんな人じゃなかったが」

佐兵衛は気抜けがしたように、