Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 289.044 caratteri · 575 schermate
今もまだ幾分クラクラです。
国府津のあの長椅子のこと思い出したりしてね。何だかあの上へ丸まって眠ったら癒りそうな気がしたりして。私が疲れを出すと、半徹夜、不規則とすぐ結論づけられますが、半徹夜なんかで、この程度続くものではないのよ。現実の問題として。普通のひととちがう生活の条件で、昼迄寝ているということはないのだから。
でも、きのう、あなたが、何となく頸の毛を立てた鷲のような彫刻的な顔つきで、私の疲れを承認なさらなかったとき、悲しいようでしたが、やがて面白くなって、その気持は今もつづいて居ります。疲れを承認しないこと、承認しない疲れを、生活の中に生じさせないようにやってゆくこと。つまりそれですから。随分その分量は減っているのだけれど、一年に一度はちょいと出して、三十一日のお手紙のような印象になるのね。あの手紙だけ切りはなしたら、マア私の生活というもの、考えかたというもの、何という惨憺たるものの如くでしょう。私の小市民的敏感性なるものも、あなたへの映りかたに興味をもちます。こういう表現で云われるときには、現実のこまごました場合のなかで、私のそうでもない気質で同じ対象に向ってされているあれこれのことは消されて、その面と思われる点だけ、あなたの印象に甦るのね。