Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Leggi 竹柏記 (ちくはくき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.798 caratteri · 91 schermate

Aozora Bunko

彼は前に立ち塞がった三人の男を、静かな眼で見やり、それから戻って、元の席に坐った。三人の男たちも、あとから入り、孝之助をとり巻くように、坐った。

「こんなふうにまで、しなければならないのか」

できるだけ穏やかに、孝之助が云った。

「そこまで自分を堕としていいのか」

「それはどういう意味ですか」

八束は片足を前へ投げだし、からかうような眼で、孝之助を見た。

「他人の失策を利用して、女を横取りするよりも、このほうが堕落した行為だ、というわけですか、まさかそうじゃないでしょうな」

孝之助はなにか云おうとして、口をつぐみ、眼を伏せた。八束の言葉は卑しく、毒をもっているが、嘘ではなかった。孝之助には孝之助のたちばがあり、云い分もある。だが、八束も八束のたちばから、云いたいことを云っているのだ。しかも、彼の云うことのほうが、身に弱点のあるだけ、却って切実なひびきをもっていた。

――躰を躱してはいけない、本心と本心でぶっつかるときだ。

孝之助はそう思って、

「この人たちに座を外して貰えないか」

と云った。八束は冷笑した。

「これは木屋徳といいましてね、私とは飲み友達だし、こんどのいきさつもすっかり知っている。