Classici giapponesi con furigana
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ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Leggi 竹柏記 (ちくはくき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.798 caratteri · 91 schermate
一の二
おなかの和子さまに万一のことがあってもよければ、どうぞお好きなようになすって下さい、殿さまのお側にあがれないくらいなら、死ぬほうがいいのですから。
こう云ったそうである。
父もこれには困った。結局は義絶をし、相川という親族の養女にして、お側へあげたのであった。正式に側室となれば、当時の規定で江戸へゆかなければならない。そこで、名目は「老女」ということで、北畠の屋敷を貰ったのである。良平が怒っているもう一つの理由は、そのとき彼女がみごもっていたと云ったのはぜんぜん嘘で、まだ殿さまとの関係はまったく清かったという点であった。
――だって、そうでも云わなければ、兄は折檻をやめるきっかけがなかったんですよ。
ずっとのちに、叔母はそう云って、笑ったそうである。いかにも叔母らしい、ひとをくった云いかたであるが、父はそれから今日まで、彼女とは絶対に会わずにとおして来た。
一の二
北畠は台地になっている。城下町の北から東をかこむ丘陵の一部で、表門から、迂曲した坂道を、約一町も登らなければならない。まわりは松や杉の深い森がつづき、五千坪ほどある邸内も、まえ庭の僅かに平らな芝生を残してすっかり森に包まれていた。