Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Leggi 竹柏記 (ちくはくき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.798 caratteri · 91 schermate

Aozora Bunko

八束は唇を歪め、初めて刀を抜いた。

「下賤とぬかしたな」

木屋徳がとびかかった。威しの役にしか立たない腕である、躱しざまに、その脇腹へ、みね打を呉れた。肋骨でも折れたか、鈍いいやな音がし、がくっと半身を跼めながら、木屋徳は転倒した。

八束は蒼くなった。孝之助の顔も蒼かったろう、呼吸は平静だと思うのに、胸が固く硬ばり、喉の奥に吐きけを感じた。

絶叫して八束が踏み込んだ。孝之助は迅速にまわりこんだ。八束は間を詰め、間を詰め、瞬時も離さず孝之助の眼を、自分の眼でつかみながら、上段から打ち込み、斬り返し、突き、そしてまた打ち込んだ。そんな太刀捌きがあるものではない、まるで自暴自棄、自殺でもしたがっているようにみえた。孝之助は左に右に避け、跳び退き、かつ外しながら、相手の刀の伸びたところを、巧みにはねあげた。刀は八束の手からはね飛んだ。孝之助も刀を投げ、八束にとびかかって、組み伏せた。

八束は柔術ができる。しかも、かなり達者であることを、孝之助は忘れていた。二人の位置は逆になった。八束の片手が孝之助の喉にかかった。彼の荒い息、充血した眼、歯を剥きだした口、凄いほど歪んだ顔が、上からのしかかって来た。