Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

Leggi 竹柏記 (ちくはくき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.798 caratteri · 91 schermate

Aozora Bunko

五の三

「ばかなことを云ってはいけない」

孝之助はうんざりしながら答えた。

「私がそんなことをするかどうか、考えてみてもわかる筈ではないか、この春あたりから不愉快な蔭口をいろいろ聞くが、世評などというものは無責任だから」

「それでは格式願いのことも根のない噂でございますか」

杉乃の口ぶりは意外に激しかった。

五の三

孝之助は妻の顔を見なおした。

杉乃は子を産んでから少し肥え、色も白く血色もよくなり、健康な嬌めかしさが溢れるようにみえた。けれども、そのときは顔もきびしく硬ばり、蒼ざめて眼は咎めるような光りを帯びていた。

「格式願いのことは事実だ」

孝之助は穏やかに云った。「――しかしあれは、断わるまでもないと思うが、今後、高安の家を保ち、故障なくお役を勤めてゆくためには、やむを得ないことであって、広松さんとも相談のうえであるし、人の噂するような意味は少しもないのだ」

「人の噂に尾鰭の付くことは知っております、尾鰭のことは申上げません。けれども格式願いが根のないことでなかったとしますと、金貸しうんぬんという評判も、なにかそうした事実があるのではございませんか」

「まったく覚えのないことだが」