Classici giapponesi con furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Leggi 第二の接吻 (だいにのせっぷん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.960 caratteri · 247 schermate
不安と憂慮のために消えていた村川の情熱が、ストーブの火が燃え盛るのと一緒に烈しく燃え上った。倭文子のうっとりと、半ばとざされた眸が見えた。
「ねぇ、ねぇ……」
「なあに!」
「接吻してはいけない?」
「いやですわ、そんなこと恥しいわ。」
そういって、倭文子は銘仙のたもとの袖で急に顔をおおった。
「何をおっしゃるのです。」
村川は、倭文子の顔をおおっている両手をはずした。手はもろく離れて、紫色の袖のはずれから、倭文子の真赤な小さい唇が現れた。村川は、それにすばやく接吻した。最初、それを拒もうとした倭文子の抵抗は、すぐ止まって、二人はすべての心と魂とを、めいめいの唇にこめたように、長い強い接吻をした。
その後に、不安とその不安を圧倒しつくしたような歓喜とにつかれた二人は、しばらくだまっていた。
「宮田君が、死んでいなければいいがなあ。」
村川は、心からそうつぶやいた。
「ほんとうですわねぇ。」
だが、今まで二人とも気がつかなかった波の音が、閉めきったドアの隙間から、二人の幸福を脅かすようにきこえて来た。
「ああ宮田さん、どうぞどうぞ、生きていて下さいませ!」
初めて恋愛の歓喜を味わい、恋愛によって生の楽しみを知った倭文子は、低く祈るようにつぶやいた。