Classici giapponesi con furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Leggi 第二の接吻 (だいにのせっぷん) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.960 caratteri · 247 schermate
」
村川は、今朝から食事さえ十分食っていないので、その一杯のアイスクリームが舌にしみ入るようにおいしかった。ウェイトレスは、村川の傍へ椅子を引き寄せて来て坐った。
「ねぇ、頼みたいことがあるんだがね、きいてくれるかね。」
「ええ。どんなことです。」
「電話をかけてもらいたいんだがね。」
「ええ何番です。」
「小石川の五百三十六番だ。川辺という家なんだ。そこへ、電話をかけてね、山内さんのお嬢さんは、いらっしゃいますかというんだ。」
「まあお安くないのですね。」
「馬鹿! そんなのとは違うんだ。」
村川は、真赤になって打ち消した。
「それでこちらは何というのです。」
「岡野といってくれないか。本人が出れば僕が代るから。」
「まあ。何だか変ですね。」
ウェイトレスは、ニヤニヤ笑った。
「つまらないことを疑わずにかけてくれたまえ、お願いだ。」
「ええ。かけますわ。」
彼女は、そういって、帳場の傍にある電話の方へ去った。
村川は、こうした技巧が、何だかいやしいように考えられて、それを倭文子が軽蔑しはしないかと思うと、落着かない心を押えようとして、もう無くなっているアイスクリームを、しきりにスプーンで掬っていた。