Classici giapponesi con furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Leggi 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.438 caratteri · 238 schermate
そうして、その礼だと言って一文銭を平助に出した。もとより礼を貰う料簡もないので、平助はいらないと断ったが、彼は無理に押付けて行った。
それが例となって、平助の小屋では毎日大きい握り飯を一つこしらえてやると、彼はきっと一文の銭を置いて行く。いくら物価の廉い時代でも、大きい握り飯ひとつの値が一文では引合わないわけであるが、平助の方では盲人に対する一種の施しと心得て、毎日こころよくその握り飯をこしらえてやるばかりでなく、湯も飲ませてやる、炉の火にもあたらせてやる。こうした親切が彼の胸にもしみたと見えて、ほかの者とはほとんど口をきかない彼も、平助じいさんだけには幾分か打解けて暑さ寒さの挨拶をすることもあった。
往来のはげしい街道であるから、渡し船は幾艘も出る。しかし他の船頭どもは夕方から皆めいめいの家へ引揚げてしまって、この小屋に寝泊りをしているのは平助じいさんだけであるので、ある時彼は座頭に言った。
「お前さんはどこから来るのか知らないが、眼の不自由な身で毎日往ったり来たりするのは難儀だろう。いっそ、この小屋に泊ることにしたらどうだ。わたしのほかには誰もいないのだから遠慮することはない。