Classici giapponesi con furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Leggi 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.438 caratteri · 238 schermate
時候はずれの寒さが病人に障ることを恐れて、平助は例よりも炉の火を強く焚いた。渡しが止まって、ほかの船頭どもは早々に引揚げてしまうと、春の日もやがて暮れかかって、雪はさのみにも降らないが、風はいよいよ強くなった。それが時々にごうごうと吼えるように吹きよせて来ると、古い小屋は地震のようにぐらぐらと揺れた。
その小屋の隅に寝ている座頭は弱い声で言った。
「風が吹きますね。」
「毎日吹くので困るよ。」と、平助は炉の火で病人の薬を煎じながら言った。「おまけに今日はすこし雪が降る。どうも不順な陽気だから、お前さんなんぞは尚さら気をつけなければいけないぞ。」
「ああ、雪が降りますか。雪が……。」と、座頭は溜息をついた。「気をつけるまでもなく、わたしはもうお別れです。」
「そんな弱いことを言ってはいけない。もう少し持ちこたえれば陽気もきっと春めいて来る。暖かにさえなれば、お前さんのからだも、自然に癒るにきまっている。せいぜい今月いっぱいの辛抱だよ。」
「いえ、なんと言って下すっても、わたしの寿命はもう尽きています。しょせん癒るはずはありません。どういう御縁か、お前さんにはいろいろのお世話になりました。