Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Leggi 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 121.438 caratteri · 238 schermate

Aozora Bunko

原稿紙にも血のあとがにじんでいる。こういう証拠が揃っている以上は、ゆうべの男はたしかにこの死体に相違ない。それを赤座だと思ったのは僕のあやまりであろうか。しかし彼は僕をたずねて来たのである。うす暗がりではあったが、僕もたしかに彼を赤座と認めた。それがいつの間にか別人に変っている。どう考えてもその理屈がわからないので、僕はいよいよ夢のような心持で、手に握った原稿紙と死体の顔とをいつまでもぼんやりと見くらべていた。

駐在所の巡査も宿屋の者も、僕の説明を聴いて不思議そうに首をかしげていた。たしかに不思議に相違ない。この奇怪な死人は蟇口に二円あまりの金を入れているだけで、ほかには何の手がかりとなるような物も持っていなかった。彼は身許不明の死亡者として町役場へ引渡された。

これでこの事件はひとまず解決したのであるが、僕の胸に大きく横たわっている疑問は決して解決しなかった。僕はすぐに越後へ手紙を送って、赤座の安否を聞き合せると、兄からも妹からも何の返事もなかった。

疑いはますます大きくなるばかりで、僕はなんだか落着いていられないので、とうとう思い切って彼の郷里までたずねて行こうと決心した。