Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

Leggi 食道楽 (くいどうらく) di 村井 弦斎 (むらいげんさい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.757 caratteri · 321 schermate

Aozora Bunko

人のこの世に生存するは毎日の食物を摂するがためなり。食物は生存の大本なるに世人の深く注意せざるは怪むべし。この家の主人中川は平生食物論を研究すると見えて頻に長広舌を揮い「小山君、モー一つ僕の言う事を聞いてくれ給え、西洋料理にも今のような生理の原則はあるが素人に解り難い。支那料理の原則たる五味の調和という事は誰にでも応用が出来て自然と化学的作用に適合しているね。即ち料理には必ず甘いと鹹いとの外に辛いと酸いと苦いという五の味が備わらねばならん。日本人の食物は多く二味か三味で成立っているが僕の家では注意して必ず五味を調和する。今差上げた料理の中に甘いと鹹いのは勿論、胡椒や芥子の辛いのがあり、梅干や蜜柑の酸いのがあり、百合や蜜柑の皮の苦いのがあって五味になる。梅干を使わない時は酢の物を拵えるとか百合のない時には款冬の薹とか鮎のウルカとか必ず苦味と酸味を膳の上に欠かないのが五味の調和だ。普通の人の食物は単調単味に過ぎるようだが五つの味が互に化学作用をすると消化も好し心持も好い。これはどうか世人に勧めたいと思うね」客「なるほど、それも至極よかろう。時に御馳走の話しはモー沢山だが先刻の話しはどうだろう。