Classici giapponesi con furigana
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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
Leggi 食道楽 (くいどうらく) di 村井 弦斎 (むらいげんさい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.757 caratteri · 321 schermate
勝手道具は人生の必要物だ。必要物は一円か二円の鍋をさえ買わないで贅沢物には五百円も千円もする名画をかけておくのはどういう訳か。人の家庭は先ず生活上の必要物から取揃えてその後に贅沢物を買わねばならん。西洋人の家へ行ってみ給え、中流以下の人士では客室に油画の掛けてない家が沢山ある。掛けてあっても一枚か二枚掛け通してあるので日本人のように十幅も二十幅も名画を蓄え四季折々に掛けかえるというような贅沢はしない。その代り台所へ往ってみ給え、食物調製に必要なる道具の揃っていない家は滅多にない。労働者といえども有毒な器で食物を料理するような事はない。日本人の家では床の間へ三百円も五百円もする名画をかけておきながら台所へ往ってみると箍の嵌った七厘の下を妻君が破れた渋団扇で煽いでいるような事もある。随分間違っているではないか。必要物と贅沢物との区別が分らん。また一方からいえば床の間の名画は主人の娯楽に供せられるのだ。書画や骨董を翫ぶのは何よりの楽みだという人もあろうが主人一人の慰みで妻君や家族は一向書画の趣味を解せん。してみると主人一人の翫具だ。主人一人の翫具には三百円五百円の金を惜まずして家族一同が生活上の道具には一円二円の金を惜むのかね。