Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
それが、ゆうべの仕返しだ。
「お綱ッ」
呼びかけるが早いか、孫兵衛の体は、蛇のごとく、女の姿へ跳びかかっていた。
「うッ……」とお綱の声がかすれる。
口は大きな掌にふさがれ、咽は、太い腕に絡まれている……それを、はね返そうとする白い足の力に、草の葉が散り、土くれが飛び、蛍草が揉みにじられた。
ちッ……とお綱は歯をくいしばって、唇へ触った孫兵衛の小指を、力まかせに咬みついた。
その痛さに、孫兵衛は、女の口から手をふり離した。
はね起きると、またすぐに、胸の辺りをドンと突かれたが、お綱は、うしろへよろけながら、きッと、柳眉を逆だてて、
「お十夜ッ、何をするんだえ!」
ひッ裂くような声で叫ぶ。
もみ散らされた黒髪の根くずれ、裾を踏まれた緋のはだかり、それは、いっそうお綱の凄艶をきわ立たせて、孫兵衛の盲目な獣心は、いやが上にも煽られる。
「お綱!」
二足……三足……。
孫兵衛が寄ってゆくと、お綱も、ジリ、ジリと、うしろへ身構えを退いてゆく。
「オイ、逃げる気か。ふウン……逃げられるものなら逃げてみろ」
「どうするッてんだい。私をッ」
「眠り薬の返礼をしてやるのよ」
「…………」