Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate

Aozora Bunko

魔舌紅舌

耳心をすまして聞き惚れると、音色はまぎれもあらぬ宗長流、しらべはゆうべの山千禽である。お綱の恋慕、お米の吐く血、二ツの女のたましいが、おののくごとく咽ぶごとく、尺八の細音にからんでいるよう……。

魔舌紅舌

お綱が、宿をぬけだしてから、やや二刻もたッた時分……。

ズキンと、頭へ錐をもみこまれるような痛みをおぼえて、お十夜孫兵衛、ふいと眼をさまし、枕の上からあおむけに、ジイと、天井板に眸をすえた。

どこともなく、漂いだした黄昏の色あい――煤けた狩野ふうな絵襖のすみに、うす赤い西陽のかげが、三角形に射している。

「オウ!」

フイに、憑き物でもおちたように、ムクムクと蒲団の上に身を起こした孫兵衛は、両手をうしろへついたまま、ややしばし、濁った頭を澄ましながら、不思議にたえぬという面もちだ。

ゆうべ……あの吹き降りに宿へついて……湯上がりにお綱の色ッぽい酌で二、三合……たしかにほんの二、三合だった……飲んでそれから……閾をへだててほろ酔いで床につく……お綱が鬢を枕へつけながらニッとこっちへ媚をむける……意味ありそうな、水向け微笑……初心だなあ、口にだしてはいえないとみえる……だが、少しじらしてやろう……と蒲団をかぶるとその煽りで、行燈の灯がメラメラとした――までは孫兵衛おぼえている。