Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate

Aozora Bunko

嵐の間におこり、嵐とともに去った変事を聞き終って、弦之丞は驚きのあまり、しばらく愕然としていたが、やがて口の裡からただ一語。

「……しまった! ……」

日頃から、多市や銀五郎の身辺には、蜂須賀家の者がつけ澄ましているところを知りぬいていたので、それとなく護っていてやったものを、今日に限って家を出たのが第一の失策――と及ばぬ臍をかまれもする。

いや、及ばぬといって、空しく手を束ねてはいられない。襲うたものは、川長でも見かけたことのある天堂一角、その他の阿波侍であろう。そして、彼らが拉し去ったという駕の一方には、必ずや銀五郎が押し込まれているに相違ない。

こう、直覚したので、弦之丞はにわかに眼ざしをかえて、

「関の裏道はどこへつづいているな?」

声まで凛と張って訊ねた。

「京へは近うございますが、大阪へは廻り道で、山から山を音羽や笠取の里へとって、宇治の富乃荘へも出られると申します」

「うむ、まさしゅうそれへさしてまいったに違いあるまい。これ二人の者たち、まことに勝手ではあるが、今の場合は、一刻も早く、その駕や侍の群れに追ッ着いて行かねば相ならぬ」

「おお、あれを追っておいでなさいますか」