Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
十手を箸のように持って、この年まで目明しの飯を食ってきた自分でさえ、あの下屋敷の塀の節穴さえ覗けずにいたものをと、少し片腹痛い気がしないでもない。
「ですが、ずいぶん危のうございますぜ」
「なんの、危なかったら引き退るまで、あわよくば、俵一八郎を救い出せるかも知れぬ」
「ああ、俵の旦那も、とうとう阿波の犠牲になってしまった……」ふと暗然とつぶやいたが、気を取り直すように立ち上がった。
「そう事が決まりましたら、一刻も早くお別れと致します。今度こそは、かけがえのねえあなたのお力、どうぞめったな足を踏みださねえように。また、常木様にお会いになりました節は、万吉はこうこうと、俵様のことのついでに、お伝えなすって下さいまし」
「心得ている。それではもう出立するか」
「へえ、にわかに気が急いておりますので」
「銀五郎が、この土の下に眠っておるかと思うと、拙者は、何やらここが立ち去りにくい」
「ごもっともでございます。江戸であなたとお千絵様が、恋とやらに燃えていた頃は、ずいぶん世話をやかせたという話だそうで」
「その昔、お千絵殿の父世阿弥殿から、少しの恩義をうけたのに感じて、こうまで義理を尽くしたのは見上げた男。