Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
この家にいる甲比丹の三次は、すなわちその荷抜屋の才取なのだ。
お十夜の孫兵衛に、辻斬りをすすめたのもこの三次。懐の金よりはその腰の刀を奪うのが目的である。当時、日本刀は荷抜屋の一番儲かる品で、また一番買い占めにくい品でもあった。
そこで辻斬りは役人を五里霧中に迷わせ、女色の深い孫兵衛をしていろは茶屋に堪能させる方法となった。
だが万吉には、こんな者を縛ってみる気は起こらない。彼の目の前には、もッともッと大きなやまがブラ下がっている。あの手紙から暗示を得た、十年苦節の大疑獄、十手の先ッぽで天下を沸かせるような功名心に燃えている。
「ええ忌々しい、何とかしてここを抜け出す工夫はねえかしら……」
その悶えもいたずらに、三日とたち四日もすでに真夜中に近い頃――。
「おや? ……」思わず耳を澄ましていると、下の部屋からガヤガヤと大勢な人声。そして時々、ピタピタ、と何か畳を打つような不思議な音がするのだった。
妙な物音? 階下で何が始まったのかしらと、万吉は、無駄とは知りながら、また昨日も一昨日も試みた努力を、真っ暗な部屋でくり返した。
出口は錠前、窓は鉄格子、半刻あまりも押したり探ったりしているうち、隅の床板に、指が一本入るくらいな穴を見つけた。