Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「どこかで駕屋を呼んでまいろう」
「待ちねえ。駕といやあ、さっきそこの鳥居側に、提灯が二つ見えていた筈だが……」
「えっ、駕が置いてあるッて」
「悪運の強い時には、何もかもトントン拍子というやつよ。ここは太田媛神社の境内だ、神様は粋をきかして、呼んでおいてくれたのだろう」
「なにしろ、時にとってありがたい。どこだ、その駕は?」
二人はノソノソと歩き出した。
周馬はお千絵を引っ抱え、お十夜は当身をくれたお綱の体を抱いている。
鳥居につづく玉垣の蔭、そこに、なるほど最前から、二挺の駕がすえてあった。
提灯は灯っているが、駕屋もいず、垂れもシンと下ろしてあるところをみると、そこらへ来かかった者が、火事に道をさえぎられて、ここに避難したものか、或いは、不用意にここへ来た矢先、周馬とお十夜の暴行をみて、ビックリして駕屋が逃げてしまったものであろうか。
なにしろ、二人にとっては、渡りに舟。
周馬は先に、その一挺の駕へ寄り、お千絵の体を垂れの中へはねこんだ。そして、手早く細曳を引ッぱずして、駕のまわりを蜘蛛手にかがりだす。
と――後からお十夜も、その側にある駕へ寄って、片手にお綱の体を支え、片手で何の気もなく駕の垂れをはね上げたのである。