Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
はてな、悪くすると、またお十夜にでもふん捕まってしまったのじゃねえかしら? ……」
独りごとを洩らすまでに、案じぬいているふうである。無論、それはお綱の身の上。
ここは根岸の奥の一月寺、普化僧仲間で、俗に風呂入とよぶ宿院である。一枝の竹管をもって托鉢する者は、誰でも宿泊できるが、弦之丞は京都寄竹派の本則をうけているので、この寺とはまったくの派違いだ。で、本院へは寄宿をゆるされず、境内にある別棟の客房を借りうけていた。
それがかえって、気ままでもあり、都合もいい。
折から目明しの万吉も、あれ以来、起居を共にして、昼は外にお千絵様の行方を探し、夜は炉の火をかこんでヒソヒソと、やがて阿波へ入り込む日の密議やうち合せに余念がない。
しかしここ数日、かなりの努力をつくしたが、お千絵の所在について皆目手がかりがなく、お綱もあのまま、此寺へ訪ねてこず、二人のかこむ炉には焦躁と沈鬱の夜がつづいた。
と。――敷石をふむ木履の音がしてきて、客房の濡れ縁に、誰か人の気配がする……。
「客僧どの」
「はい」
「まだお寝みではございませんでしたか」
聞き馴れた番僧の言葉づかいである。