Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「まアご冗談を……」美しいといわれることは、お米にとって、病に錐を向けられるような苦痛であった。
「しばらくの間、またそちの姿も見られなくなる。つまり今宵は別盃じゃ、まあ一盃受けてくれい」
「オヤ、ではお近いうちにお国元へでも?」
「ウム、殿のご帰国に従いて渡海する筈じゃ。ままになるならお米も一緒に連れたいが……」
「嬉しゅうございますわ、森様、ほんとにお連れ下さいましよ」
「はははは、真に受けられては大変じゃ。知っての通り、他領の者は一歩も入れぬ阿波の御領地。ましてや厳しいお関船へは、どんな恋女房でも乗せては行かれぬ」
「昔は阿波のお国へも、商人衆や遍路の者が、自由に往来したそうでございますが、いつからそんな不便なことになったのでしょう」
「さよう、もう御封地になってから七、八年。阿波の水陸二十七関、いよいよ厳しいお固めである」
「それはまた何のためでございますか」
「何のためか、殿様のお胸、吾々の知るところでない。しかし西国のうちには、阿波以外にも他領者の入国できぬ所がある」
「すると、真から、そこに恋しいお方があるとすれば、清姫のように蛇になって、あの鳴門を越えなければなりませんね」