Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate

Aozora Bunko

「困ったなア。といって、ほかに方法はないから、そこを一ツ、泣きついてみましょうよ」

虎五郎は、ドンヨリした眸を天井へ向けて、仮面のような、怖い皺をよせていた。と、その蒲団の足の方へ、うっ伏していたお三輪がヒョイと、

「お隣の小父さん。困るッて、お金のことなの?」

泣き腫れている顔をあげた。

「ウム、お金だ。だがネ、お三輪坊。おめえなんか子供だから、なにも、そんなことを心配するにゃ当らないよ」

「でも小父さん、お金なら、まだちゃんのふところに、小判がたくさん残っている」

「えッ、小判が?」

半信半凝で相談の上、虎五郎の胴巻をほどいてみると、お三輪のいったとおり、垢もつかない鋳き立ての小判が、古畳の上にザラザラと二百両余り。

「あ! 小判だ」

「ほんものだ!」と、一同は、ぎょッとして手を引ッこめたまま、ただ茫然としてしまう。

さて、難儀な中にまた厄介な代物が出てきた。無職で性質の悪い紋日の虎が、金座の坩堝から出たばかりの、うぶな小判をこう持っているのは怪しいよりは怖ろしい。この金の素姓も問わずに、手でもつけたら、それこそどんな災難が降ってくるかも知れない……と、まず筋向うの糊屋の婆さん、妙に、シンミリと声を落して、